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環境・社会・ガバナンス(ESG)投資

エンゲージメント

ガバナンスおよびエンゲージメントの原則
当社グループは、エンゲージメントを、投資家と企業が対話を通じて、お客様にとって長期的かつ持続的なリターンにつながる企業の行動を促す場であると考えています。複数の資産クラスに投資する運用会社として、様々な手法や当社グループの「ガバナンスおよびエンゲージメント原則」が示すアプローチを用い、発行体の資本構造を横断したエンゲージメントを行っています。
Total Engagements Total Engagements
エンゲージメントのケーススタディ
開示の強化と進捗の評価
水資源関連企業が追求する透明性

背景:
イヴォクア・ウォーター・テクノロジーズ(Evoqua Water Technologies)は、米国における水処理装置および関連サービスの大手企業です。長らく 非公開企業でしたが、2017年に上場し、ESG課題の開示と成果の向上に注力しています。当社はIPO以来、同社と関係性を構築し、2020年からは株主として、ESGまたはインパクトに関する開示が不足していること、特に環境負荷を低減する目標が存在しないことを指摘しました。加えて同社は、ダイバーシティ(多様性)に関する統計値を開示していませんでした。

視点とプロセス:
当社は、同社に対して2020年からエンゲージメントを開始しました。2021年にかけて経営陣と米国株式サステナブル・チームが環境への影響に関する目標の設定方法を検討する中で、より頻繁に対話の機会を持つようになりました。同社は当社に対してさまざまな提案を行いましたが、その方向性は正しいものの、当社が業界のベストプラクティスと考えるものにはほど遠いものでした。そこで当社は、排出削減と節水について科学的根拠に基づく温室効果ガス排出の削減目標(Science Based Targets、SBT)を導入し、さらに前進させる ことを奨励しました。また、ダイバーシティ、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)に関する透明性を高めることの重要性を強調しました。その一環として、従業員や上級幹部職の性別やマイノリティの割合に関する追加的な情報開示を求めました。

成果と展望:
2021年4月、同社は全世界の従業員および上級幹部職におけるダイバーシティの統計と、米国の従業員におけるマイノリティおよび退役軍人に関する情報を開示しました。また、ダイバーシティ向上を目的とした紹介プログラム、多様なサプライヤー・プログラム等のダイバーシティ・イニシアチブを発表し、上級幹部職の採用時に多様なインタビュー・パネル(一人の候補者に対して複数人で同時に面接すること)を実施する旨を共有しました。2021年11月、同社は2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを達成する目標を発表し、2023年までにSBTを設定することにコミットしました。また、 2035年には事業活動で排出される水量を上回る水をリサイクル・再利用することを目標としています。さらに、同社は2022年の従業員報酬プログラムに、安全目標とともにこれらの目標を組み入れました。

当社は、サプライチェーンにおけるESGのベストプラクティスや、同社の製品やサービスを通じて顧客のために処理または節約される水に関連する潜在的なインパクト目標 について、同社とのパートナーシップを継続しています。

ファイナンス・インクルージョンとESG情報開示の強化
金融サービスへのアクセス拡大

背景:
ワンメイン・フィナンシャル(OneMain Financial)は米国最大のノンプライム向け消費者金融会社です。 顧客の25%が信用不安を抱えていたり、リスクの高い地域に居住していたりすることにより、十分なサービスを受けられないコミュニティへの融資等の包摂的な取り組みを行っています。当社が主導する積極的かつ長期的なプロセスを通じて、同社が責任ある債務の引受けへの取り組みと情報開示の改善を図りながら、十分なサービスを受けていないコミュニティに金融サービスへのアクセスを提供するため、段階的な対策を講じる よう促しました。

視点とプロセス:
当社は、同社経営陣との長期的な関係を活用して、発行体が最良のESG方針を取り入れ、責任ある債務の引受けへの取り組みを強化し、十分なサービスを受けていないコミュニティや人々への融資活動を拡大するための長期的な目標を設定するよう働きかけました。

当社のデューデリジェンス・プロセスでは、同社のCFO、チーフ・リスク・オフィサー、財務担当者、法務担当者、IR担当者 、エクイティ・ステークホルダーなどの経営幹部と20回以上のディスカッションを行いました。当社はESG戦略の確立と方針の開示強化のために、同社と協働しました。ESGのフレームワークを正式に確立し、公開することで透明性が高まり、地域社会や十分なサービスを受けていない顧客層に責任をもってサービスを提供するという同社のコミットメントが強化されると考えたからです。また当社は、同社に対して、最良のソーシャルボンドのフレームワークの確立を促し、監査、レポーティング、実績の追跡における透明性の重要性について関与しました。

成果:
同社は、2020年7月に最初のESG報告書を公表し、2021年にはソーシャルボンドのフレームワークを確立しました。このフレームワークは、国際資本市場協会(ICMA)が発行する「ソーシャルボンド原則2020」に沿ったもので、スタンダード&プアーズから第三者のアライメント・オピニオンを取得しており、国連の持続可能な開発目標1.4、8.10、10.2との整合性を図ることを目的としています。同社は2021年6月に初のソーシャルボンドを発行し、当社は7億5千万ドルの発行においてアンカー投資家として当該案件に参加しました。

開示の強化と人的資本管理
英国の動物医療関連企業がESGの取り組みを強化

背景:
CVSGは、英国最大の動物病院および関連サービス提供企業であり、オランダとアイルランドにも進出しています。英国では400を超える拠点でファースト・オピニオンを提供する診療所や紹介先となる病院を運営し、研究所、ペット火葬、オンラインショップまで幅広い事業を展開しています。当社は、動物の福祉とケアに長年貢献してきた同社は、その取り組みと情報開示について、質と内容の面で改善が可能であると考えています。

視点とプロセス:
数年にわたり、当社は同社の事業のファンダメンタルズと経営に関して多くのエンゲージメントを実施しました。2019年、同社が経営危機に陥った際に、当社は詳細にわたる戦略的な助言を提供した後、同社が「正しい船出」を果たしたのを見守りました。その後も、複数の経営幹部が参加する定期的な対面による面談、現地視察、電話会議による広範な対話が継続し、エンゲージメントの焦点はより正面から取り組むべき重要なESG課題に移りました。

具体的には、当社は、(1)ESG情報開示の改善、(2)事業にとって重要なファクターへの集中、(3)ESG格付け機関との連携による同社の取り組みおよびインパクトの理解促進を提案しました。特に、従業員が実効性とコスト効率を維持する上で不可欠な役割を担っていることから、同社の人的資本に関する方針と慣行は適切であると判断しました。また、重要業績評価指標(KPI)の導入により、長期的な進捗をより効果的に追跡・開示することを提案しました。

成果と展望:
同社は当社の提言を受け入れ、これまでESGに関するコミュニケーションは社内での情報共有が中心でしたが、今後は社外に向けて配信する改善の必要性を認識しました。2021年6月までに、同社は、初めてESGファクターを標準的な業績開示項目に含めました。また、MSCIとサステナビリティの分野で対話を行い、情報開示の充実により2021年3月にAAに格上げされました。また、同社はサステナビリティに関する開示の改善に取り組んでおり、2022年の年次報告書において、関連するKPIを含むサステナビリティ・アップデートを公表する予定です。当社は、同社が人的資本管理の手法を改善していることを喜ばしく思っています。同社はケアの質を重視し、従業員に対して質的・賃金的支援も行っていることから、定着率と新規採用の改善が進み、同社の欠員率は2018年上期の12%から2021年上期には7.5%に低下しました。

取締役会の独立性と多様性、資本政策
日本のガバナンス改革:小さな会社の大きな一歩

背景:
日本では、2021年6月にコーポレートガバナンス・コードが改訂されたことに加え、2022年4月に開設された東京証券取引所のプライム市場の上場基準に対応するため、コーポレートガバナンス改革が進展しています。しかし、時価総額が1兆円未満の中小型企業の大半では、大企業に後れを取っています。当社は投資先の持続的な企業価値の向上を実現するべくエンゲージメント(目的のある対話)を実施しており、その目標へ着実に前進していると考えています。その一例として、プレスリリースの配信で国内最大手の企業があります。同社の議決権の過半数は上場企業が有していることから、親子上場における利益相反の問題に直面していました。

視点とプロセス:
2020年4月以降、当社は、コーポレートガバナンス(取締役会の独立性と多様性)、資本政策(株式の流動性)、重要性の高い環境・社会課題など、多くの重要な課題について同社に対してエンゲージメントを行ってきました。まず、同社代表取締役とのエンゲージメントにおいて、同社が抱える利益相反問題をどのように軽減していくかに焦点を当てました。2021年に入ると、改訂コーポレートガバナンス・コードが求める、独立社外取締役が取締役会の過半数または独立役員によって構成された特別委員会の設置や、取締役のダイバーシティ(多様性。当時、女性取締役はゼロ)などに対応するため、取締役会の独立性強化と多様性向上に議論を広げました。また、同社の株式の流動性に関しては、2022年4月からの新しい上場基準である浮動株比率35%を下回っていたため、状況の改善を促しました。

成果と展望:
2021年9月、同社は東証プライム市場への移行を申請すると発表し、改訂コーポレートガバナンス・コードに適応し上場基準を充たしました。また、親会社出身の取締役の退任を発表し、後任に日本ではまだ珍しい経営経験豊富な女性社外取締役を選任しました。さらに、親会社等が保有する株式の一部売却を実現することにより、上場要件を満たすことができました。

今後は、親会社との中長期的な資本関係について、同社との対話を促進するとともに、同社が資本構成を決定する際には、少数株主保護に関する施策を強化することが必要であると考えています。また、サイバーセキュリティ、人的資本、営業活動における社会的責任に関する重要課題についても、より具体的な議論を進めていきます。

エクイティ、インクルージョン、ダイバーシティ
従業員のダイバーシティの必要性

背景:
当社は、オムニチャネルへの投資によって利益の獲得が可能と思われる大手小売企業に投資をしています。 当社は、小売業の人的資本集約度を考慮すると、従業員に支援的でインクルーシブ(包摂的)な職場環境を醸成する小売企業は、財務的なアウトパフォームを実現する可能性が高いと考えています。2020年に巻き起こった 米国の反レイシズムの抗議運動を受け、多くの企業がダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包摂性)への取り組みを強化することをコミットしました。また、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的流行)が人手不足を助長し、対面 での接客に依存する企業には逆風となりました。このような環境の中、当社は、小売企業5社の経営幹部と協働して、各社のエクイティ、インクルージョン、ダイバーシティ(EID)に対するコミットメントを検証しました。

視点とプロセス:
企業間の比較を容易にするため、EIDの取り組み、開示、財務パフォーマンスやより公平な社会の発展に重要な目標に関する一連の質問を作成しました。また、長期的なアナリストとの関係性を活用して、経営陣との面談を設定し、質問を行い、その回答を確認しました。その結果、各社ともこの分野の取り組みに強い関心を寄せていることがわかりましたが、中にはより進んだ取り組みを実践している 企業も存在しました。

その中で、ある大手小売業は、長年ダイバーシティ の推進を提唱しており、当社はそのEDIの取り組みが同社のビジネスを強化したと考えています。具体的には、多様な人材を活用することで、より多くの民族や人種に対応した化粧品や食品の品揃えを拡充し、顧客とのつながりをより広く、深くするなどの創造性を発揮しています。このようにEIDを活用した「創造性のエンジン」が、競合他社よりも消費者の関心を集めていることについて、独自のWebのトラフィック・データ 分析により確認できました。

また、役員報酬にダイバーシティ目標の達成度を反映させるという取り組みを行っている企業もあり、ダイバーシティの重要性とアカウンタビリティの確立に向けた重要な一歩を踏み出していると考えています。一方、ショッピングモールを拠点とする小売企業では、EIDに関するトピックにあまり関心がなく、有意義なデータを提供できない企業もありました。特に、店舗と本社の間のダイバーシティ格差の縮小については、もっと努力する必要があると認識しており、それゆえ当社は同社の従業員のスキルアップや社内異動を促進するための取り組み への投資を継続的に支援しています。

成果と展望:
当社は、これらの企業がEIDを重視しながらも、潜在的な改善点を認識していることを嬉しく思います。特に小売業のように従業員を多く抱えるセクターでは、従業員の福利厚生が重要な優先事項であると考えます。過去数年間、賃金、ジェンダー、人種間の不平等を解消するために多くのことが成し遂げられましたが、当社がエンゲージメント活動で提唱したEID指標を経営者の報酬に組み込んでいる企業はほとんど存在しないことが分かっています。経営陣のインセンティブに「社会的」要素を加えることは、変化を促すために不可欠であり、企業業績を評価する上で、より伝統的な財務指標に並ぶものであるべきです。重要なことは、企業のEIDへの取り組みが様々な段階にあることを当社が理解していることです。そのため、当社はEIDへの取り組みを始めたばかりの企業にはリソースを、また、より進んだ企業には、取り組みの微調整を行うための視点を提供することが可能です。

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