金融危機後、多くの機関投資家は、銀行が自己資本比率を強化する中で生まれたプライベート・デット(銀行以外の主体による主として企業向けの貸し付け)という魅力的な投資機会を活用し、利回りを追求してきました。現在では、運用ポートフォリオにおいて一定の比率を占めており、投資家は投資先の多様化を模索しています。
本稿では、「スペシャルティ・ファイナンス」をその多様化手段の一つとして紹介します。スペシャルティ・ファイナンスは、企業向けローンとは異なる特性を持ち、一般的なプライベート・クレジットやプライベート・デット・ファンド(4~7年)と比べ、2年未満という短期間で高利回りの投資機会が存在します。さらに、こうしたプライベート市場での投資をオーダーメイドで構築することで、下振れリスクの抑制やさらなる分散効果が期待できます。
エグゼクティブ・サマリー
「スペシャルティ・ファイナンス」とは?
- テクノロジーの活用を通じて、フィンテック企業等が新たな貸し手として台頭。
- 一方で、フィンテック企業の多くは、自社で保有可能なローン規模が限定的であり、組成したローンを売却するニーズが増加。
- リスク特性は、従来の企業向けローンとは大きく異なる。
ストラクチャリングと信用補完
- 投資家は、ローンのオリジネーター(貸し手)と交渉し、最初の損失リスクを回避する仕組みや、投資家にとってより有利な投資条件を設定することが可能。
- これにより、下振れリスクが抑制され、市場リスクの影響を受けにくい運用が可能。
競合が少ない環境
- 投資にあたり、ソーシング(ローン案件の発掘)やストラクチャリング(投資形態の構築)は運営上の負担が大きいため、十分なリソースと専任のチームが必要。また、チームには広範な業界ネットワークと経験が求められる。当社の投資チームのように、デット投資やフィンテック企業にて貸し付けの実務経験を持つシニアメンバーが複数所属していることが理想的。
- これにより、競合の少ない環境で、従来のプライベート・デット戦略と差別化・補完的な役割を果たすことが可能。
優先リターン設計により下振れリスクを抑制
想定損失率4%の仮想ポートフォリオにおいて、元本の3%をエスクロー口座に預け、14%の目標利回りを設定した場合の、さまざまな損失シナリオ下での利回り
出所:ニューバーガー・バーマン。このモデルは、ここで説明されているテーマの概要を示すための例示であり、実際の投資機会や投資結果を表すものではありません。利回りのデータは、参考であり、このような収益が実現または達成されることや、投資戦略が成功することを示唆、予測、または保証するものではありません。利回りは、特定の損失シナリオにおける契約利率を示しており、実際に達成される利回りは大きく異なる場合があります。利回りには、投資家が負担する手数料や経費は考慮されておらず、リターンが低下する可能性があります。この図は、レバレッジを使用しない仮想ポートフォリオを示しています。